関西学院の正誤問題と「教科書」
関学といえば正誤問題です。そこで、2016年の問題を使って、詳しく検討してみました。
(1)
全問題中の正誤問題数は、2016年で44~74%、平均29.8問(59.6%)です。
ほぼセンター試験なみの高い比率です。
特に[1]のa・b正誤10問は「関学名物」で、消去法が使えないため難しい。
さらに、センター試験にもない形式が、「語群がア〜ウから選べ。該当するものがなければエを答えよ」というタイプです。これも消去法が使えないので、難度が上がります。数えてみると、このタイプが(正誤問題のうち)33〜59%を占めています。
この「消去法の使えない」問題の合計数は、全体の28〜46%に及びます。これでは、平均点が低くなるのは当然と言えます。関学の日本史は難しいと感じる受験生が多いのも無理からぬところ。
試みに、大学が問題集で公表している2016年の試験日ごとの「消去法の使えない問題の数」と平均点(150点満点)とを比較してみると、
1日:19問で77点 2日:14問で84点 3日:19問で75点
4日:23問で90点 6日:17問で80点 7日:14問で89点
となります。(問題が平易だった)4日をのぞけば、平均点の上下と「消去法の使えない」問題の多少がきれいに対応しています。
(2)
さて、そんな関学名物の正誤問題は、実は特定の教科書(山川出版社『詳説日本史』)の文章をほぼほぼ借用しています。
確かに、山川『詳説日本史』は非常に多くの高校で採用されている教科書ですが、日本史Bの教科書には他にもあります。例えば、実教出版『日本史B』は、
内容量は『詳説』と同等で、進学校で採用している学校もあります。そこで、二つの教科書の文章と関学の入試問題を比較してみました。2016年の2/1と
2/2の[1]、合計40の正誤問題文のうち、
山川にしかのっていない内容がある 11
内容の差はあまりないが、山川の文章の方が明らかに似ている 16
明らかな優位差はない 7
違う箇所で相互に優位がある 1
内容の差はあまりないが、実教の文章の方が明らかに似ている 2
実教にしかのっていない内容がある 3
という結果でした。
他の教科書を全く見ていないというわけではないようですが、圧倒的に山川『詳説日本史』が採用されています。今回調べてみて、正直、驚きました。
実はさっきの調査で「山川にしかのっていない内容がある」が11箇所もありましたが、そのうち3つは、教科書本文ではなく、脚注でもなく、地図や写真の下の説明文です。そこまで見ないといけないのか、っていう(笑)
特に、a・b正誤は、a・bの正誤判定を個々にきちんと判断しないといけない。つまり、逃げ道がない。
関学志望の人は、『詳説日本史』を徹底的に読み込んでおくと良いでしょう。