政治経済(株式や大企業の関係)のところの教材に『会社四季報』が有効であるとうのは、全民研編『手に取る公民現代社会教材・入手と活用』(地歴社) で教わりました。複雑なところまでいかないまでも、大企業の大株主を見てみたり、ユニークな株主優待を見せたりするだけでも、高校生にとって遠い存在に感じる経済や"株式会社"を、わずかでも身近なものにできる気がします。
今年度(2004年2学期)は久しぶりに株式ゲームも実施しました。プロ野球の再編問題と関連する会社の話題が連日のように新聞テレビをにぎわせており、授業の話題にうってつけでした。
- 大阪バファローズのオーナーが近畿日本鉄道の重役(相談役)であることに親会社・子会社の上下関係が出ている。
- プロ野球の経営が赤字なのは以前から変わらないのに、最近になって経営のことが問題視されているのは、"親会社"の経営が不況で苦しくなっていることが一因である。
- ダイエーや近鉄・西武(は今年度は手放しませんでしたが)が手を引こうとし、ライブドア・楽天・ソフトバンクが手を伸ばしている。以前は阪急・南海・国鉄がプロ野球球団を持っていたし、さらに昔には松竹・東映・大映という映画会社だった。これらは、その時代の花形産業が何であるかを映している。
- ライオンズの堤オーナーの辞任の背景に、西武鉄道の株式保有のルールについての問題があり、一部上場が停止された。
ざっと、こんな感じでしょうか。
ところで、この際に久しぶりに『会社四季報』(2005年秋)を買いました。当然のことですが、企業の状況は刻々と変化しており、それを実感しました。今回は、その中から使えそうなネタを抜き出してみました。
(1)それはライバル会社では?
証券コード 企業名 主な株主(順位) 2576近畿コカコーラボトリング (1)キリンビール 41.1% 6792日本ビクター (1)松下電器 7262ダイハツ (1)トヨタ 51.1%
(2)いま話題の個人大株主
証券コード 企業名 主な株主(順位) 4753ライブドア (1)堀江貴文 36.4% 4755楽天 (1)三木谷浩史 20.5% (3)三木谷晴子 13.6% 9404日本テレビ放送網 (1)読売グループ本社 8.4% (2)渡辺恒雄 6.3%※
9984ソフトバンク (1)孫正義 31.5% ※ 2005年新春号では、渡辺氏は消えて読売グループ本社が14.8%になっています。丸々移動したようですね。
(3)さすがはもと"三公社"
証券コード 企業名 主な株主(順位) 2914JT (1)財務大臣 64.5% 9432日本電信電話 (1)財務大臣 45.9%
(4)自動車業界は海外の傘下
証券コード 企業名 主な株主(順位) 7201日産自動車 (1)ルノー 44.3% 7202いずゞ自動車 (1)ゼネラルモーターズリミテッド 10.2% 7211三菱自動車 (1)ダイムラクライスラ 22.4% 7261マツダ (1)フォードオートモーティブInt'lホールディング 33.3%
(5)協力関係にありそう…?
証券コード 企業名 主な株主(順位) 2591カルピス (1)味の素 24.9% 4324電通 (1)時事通信社 12.4% (2)共同通信社 10.6% 4816東映アニメーション (2)テレビ朝日 14.2% (3)フジテレビ 7.1% 4839WOWWOW (1)フジテレビ 9.9% (2)TBS 8.9% (3)日テレ8.3% 7969タカラ (1)コナミ 22.2%
(6)その他
証券コード 企業名 主な株主(順位) 4676フジテレビ (1)ニッポン放送 22.5% 8183セブンイレブン (1)イトーヨーカ堂 50.6% 9002西武鉄道 (1)コクド 43.1% 9602東宝※ (1)阪急電鉄 10.2% (2)阪急不動産 9.8% 9861吉野屋 (1)伊藤忠 20.0%
※ 「東宝」は「東京宝塚」の略。宝塚は、歌劇も含めて阪急グループ。
(7)株主優待から(大半は自社製品や商品券などですが…)
四季報ページ 企業名 株主優待より 1991ヤクルト本社 神宮球場のヤクルトスワローズ野球観戦(外野席・年間10試合)※ 1968サカイ引越センター お米5kg 1963吉本興業 なんばグランド花月無料優待券、ルミネtheよしもと無料優待券など ※ 2005年新春号では、今年度からはじまるセパ交流戦2試合がしっかり追加されていました。
これ以外にも、色々と面白いデータがあるかと思います。時の話題や生徒のようすに合わせて、活用されると良いかと思います。