たとえばこんなテーマ学習(1)

株式シミュレーションゲーム簡易版

2000.9.9

 株式相場の仕組みを実感させるための「株式シミュレーション」については、東証が主催している本格的なものが知られており、『続・手に取る公民現代社会教材・入手と活用』(地歴社)にも詳しく紹介されています。
 しかし、本格的なだけにやはり生徒にとって難しく感じられ、また教員の方もかなり本腰を入れないといけないという「難点」?もあります。
 そこで、もっと簡単なシミュレーションゲームを工夫してみました。
 大事なことは生徒に興味関心を持たせることです。株の売買によって利益損失が生じることを、ゲーム的に体験してもらえればよい、と割り切ってみました。

進め方

 最初に、次のようなルール説明を配ります。

(1)所持金は3000円からスタートします。
(2)株を売買できるのは、プリントにある食品関係企業に限ります。
(3)株は同時には1社分しか持てないものとします。
(4)所持金の範囲なら一度に何株買ってもかまいませんが、売る時にも一度に全部売らなければなりません。
(5)持っている株を売る時は、必ず同時に別の株を買わなければなりません。
(6)売買は、毎週の産業社会の授業の最初に前日の終値で行います。
(7)授業以外の日に売買したい人は、職員室の久下のところまで来ること。
   ただし、その場合は手数料10円を引きます。
(8)試験前最後の授業の時、持っている株を必ず売って清算します。
   この時、もとの3000円から何円もうかったかを競います。

 食品関係企業に絞ったのは、あまり多いと把握が難しくなる、生徒にとって馴染みのある社名が多い、極端に一株の価格が高い企業がない、といった理由です。
 1社しか持てない、売るときはまとめて全部売る、というように決めたのは、同様にこちらが把握しやすく、生徒自身も混乱しないようにです。
 手数料は、職員室に殺到されないようにとの抑止策だったのですが、杞憂だったのか逆効果だったのか、授業以外の日には誰も売買に来ませんでした。

 最初の授業で全員どこかの株を持ち金の範囲で買ってもらい(もちろん買ったつもりになるだけ)、以後週1回の授業のたびに当日の朝刊の株式欄の抜き刷りを配り、前日の終値で売って買い換えるか、そのまま次週まで持ち越すかを各自で判断させます。
 ただ、一人では判断も難しいし盛り上がらないと考え、数人の自然グループで相談しながら進めました。
 ルールはやや厚めの上質紙に印刷し、裏には購買の収支を買い込んでいく表を入れました。毎回これを配り、ここに(売買をした時は)記入して回収します。

→クリックで、使用した収支表をダウンロードできます。
(B5横、一太郎V8形式、LHA圧縮、約4kb)

結果
 ゲームは今年(2000年)の6月1カ月の期間で実施しました。
 結果(→詳細はこちらをクリック)は、以外にも多くの生徒が利潤をあげていました。
 27人中、損をしたのはわずか5人、最も損害の大きかった者で160円(約5%)でした。一方、利益をあげた者での最高はなんと624円(約21%)、10%以上の利益をあげた者が5人もいました。平均は+132円でした。素人の高校生が週に1回の買い換えでこれだけもうかるとは、景気が快復傾向にあることを示しているのでしょうか?
 また、目立つ男女差はありませんでした。

 なお、ゲームを盛り上げるため、上位5名に何か商品を出すと約束しました。
 考えたのですが、1ドル札をあげて、「新聞で、1ドルが何円か気をつけて見ていなさい。その日の相場で円に換えてあげるから、いつでも持っておいで」と言おうと思っています。これもまた、教材の一つになりますよね。


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