株式シミュレーションゲーム「超」簡易版

2004.10.10.

 以前にも簡易株式シミュレーションゲームをご紹介しましたが、今回はさらに簡略化したものを考えてみました。

  1. 多くの中から選ぶのは難しいので、選択肢を2つにした。
  2. 金額の比較がしやすいように、両者の株価が同じ所からスタートさせ、しかもキリのいい株価を選んだ。
  3. 2つの会社は生徒にも馴染みのある有名な企業にした。
  4. 何日にもわたって追求するのは難しいと判断し、過去数日分の株価を教室で発表してシミュレーションさせることにした。

 こういう方針を考えて、時折新聞の株式欄を眺めていたところ、おあつらえ向きの状況を見つけることができました。そこで作ったのが下のようなプリントです。

現代社会/政治経済株取引シミュレーションゲーム

(    )年(    )組(    )番(                  )

※2004年9月6日の東証終値で、ビクターとキリンが同じ1000円でした。これを利用して、株価変動を体験するゲームをしてみます。

【ルール】

  1. ゲームは1回戦から7回戦まで。そのつど、あなたはその日どうするか=株を買うか、売るか、何もしないか、を決めてもらいます。
  2. 1回戦では、ビクターかキリンかどちらかの株を1株買ってもらいます。「何もしない」はありません。
  3. 2回戦以降は、
    • 株を持っている人 …その株を売る または そのまま何もしないか。
    • 株を持っていない人…どちらかの株を買う または そのまま何もしない。 のどれかになります。
  4. 売るのと買うのは同時にできません。また株を持てるのは、どちらか1つの会社のもの1株だけです。
  5. 基本的には7回戦で終わりです。ここで株を売り、精算してお金がたくさん残っている人が優勝です。商品を用意します。
  6. ただし、延長戦の希望にも応じます。チャンスは売却1回だけ。期限は11月1日まで。実際のビクター・キリンの株価で判定します。その日の朝刊(つまり前日)の終値で売るものとします。

回戦

日付
ビクターの株を…
キリンの株を…
支払金額
受取金額
差引残金
9/6
買う
×
買う
×
×
1000
 
ー1000
9/8
×
売る
×
売る
何もしない
     
9/10
買う
売る
買う
売る
何もしない
     
9/13
買う
売る
買う
売る
何もしない
     
9/15
買う
売る
買う
売る
何もしない
     
9/17
買う
売る
買う
売る
何もしない
     
9/21
買う
売る
買う
売る
何もしない
     

 

 最後の表は集計表です。生徒は回戦ごとに、買う・売る・何もしない のどれかを選んで○をし、売った場合はその時の株価を「受取金額」に、買った場合はその時の株価を「支払金額」に記入し(何もしない場合は空白のまま)、残金を計算して「差引残金」の欄に記入します。

 今回使ったデータは、次の通りです。なかなか絶妙な変動の仕方になりました。

回戦

日付
ビクター株価
キリンの株価
9/6
1000
1000
9/8
1039
△39
1004
△ 4
9/10
1043
△ 4
985
▼19
9/13
1073
△30
983
▼ 2
9/15
1055
▼18
971
▼12
9/17
1041
▼14
957
▼14
9/21
1022
▼19
962
△ 5

 結果論でいうと、最初にビクターを買い(ー1000円)、最高値の4回戦で売り(+1073円)、5回戦は見送って6回戦で底値のキリンを買い(−957円)、最終7回戦でこれを売る(+962円)、というのが一番もうかる道だったことになります。

ー1000+1073−957+962=+78

 そんなにうまく行くはずがないわけで、株の難しさも少しは分かってくれるのではないかと思います。

 実施の仕方ですが、ホームルーム教師でもいいのですが、生徒が動き回るのと、かなり騒がしくなる可能性があるので、どこか広いめの特別教室(視聴覚教室など)に移動した方がやりやすいです。体育館でもいいでしょう。
  私の学校の視聴覚教室の場合は移動できる黒板がちょうど2つあったので、教室前の左右に並べ、そこに2つの会社の名前を書いて、自分が株主になった方の会社の方に移って座らせました(株を持っていない者は真ん中に座る)。体育館なら壁に模造紙で貼るのもいいでしょう。

 黒板に、順に株価を発表していきます。株価が上がったら上がったで、下がったら下がったらで、歓声が上がります。判断を間違えて損をしてしまう者とそれを笑う者、運の良かった者とそれをやっかむ声など、相当盛り上がりますよ。

 なお、各クラス1位になった生徒には、賞品として、ダイエーの株主優待200円券をあげています(^^)

 また、延長戦はまだ継続中です。が、ここのところの株価の推移を見ていると、どちらも1000円以上に復帰してくれそうにありません(^^;