世界史の授業と国旗5 南アジアの他民族他宗教と植民地支配

  1. 現在のインド・スリランカ・パキスタンは、イギリスによる植民地支配を経て第二次世界大戦後に独立した際に分離したものである。また、 インド地域の宗教は、まずB.C.10世紀頃にバラモン教が誕生し、それに対して仏教が成立、B.C.3世紀にはアショカ王の保護によって発展、セイロン島にも布教された。5世紀頃にはバラモン教から発生したヒンドゥー教が主流となった。さらにイスラムが西北部より流入、13世紀以後イスラム系の王朝が続いた。
  2. イギリスは、植民地支配において、インド内のヒンドゥー教徒とムスリムの対立を煽って利用した。また、セイロン島での紅茶生産の労働力不足を補うためにインドのタミル人を移住させた。このため第二次大戦後、宗教対立からインド・パキスタン・スリランカの3国に分離して独立したが、それぞれの国で宗教や民族の混在と対立から問題が生じている。スリランカではタミル人による分離独立運動が暴動に発展、パキスタンでは東パキスタンが独立してバングラデシュとなる。インドとパキスタンはカシミール問題や東パキスタン問題で3度、軍事衝突を起こしている。
  3. インドの国旗の三色のうち、オレンジは勇気と犠牲、白は真理と平和、緑は公正と騎士道を表すというが、別の説ではオレンジがヒンドゥー教、白が仏教、緑がイスラム を表す。中央の紋章は法輪で、アショカ王の仏塔に由来する。
  4. スリランカ国旗の右側のライオンは建国神話による。昔インドでライオンが少女をさらい、双子の兄妹が生まれたが、兄は父ライオンを殺し妹と結婚した。この子孫がこの島に移ってきてシンハラ王国を作った、という。 現在は、このシンハラ人が74%、インドから渡ってきたタミル人が17%、あとはイスラムのムーア人となっている。宗教は主に上座部仏教であり、ついでヒンドゥー教が多い。 独立当初1946年の国旗は右側のライオンだけだったが、少数派への配慮から、イスラムを表す緑色とヒンドゥー教を表すオレンジ色の帯が加えられた。
  5. パキスタン国旗の星と三日月はイスラムのシンボルであり、緑色も同じ。国内のイスラム教徒は97%におよぶが、国旗の白の帯は、国内の他の宗教への尊重を表すという。
  6. バングラデシュの国旗の緑は農業の発展を、赤は太陽を表すとともに、独立のたたかいの犠牲者をたたえる心をも表す。また、最初は中央に黄色で国土の形のシルエットがあった。


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