合巻(『青砥演劇譚』)



【概要】書名:中を見ると『三七孝貞大義復讐勧善青砥劇譚』がフルネーム。
       国書総目録の項目は『青砥劇譚(あおとかぶきものがたり)』。
       表紙には『青砥演劇譚初編』とある。
    成立:初編は弘化四年(1847)に出版。
    作 :薮雀庵斗文(国書総目録は「藤本吐蚊=三世瀬川如皐」)
    画 :一陽斎豊国(国書総目録は「二世歌川豊国」)

【入手】 今年4月、京都文化博物館に「冷泉家の至宝展」を見に行った際に、そこで行われていた古本市で見つけました。合巻が非常に魅力的な教材であることを『手に取る日本史教材・入手と活用』で知ってから、ずっと探していて、ようやく手に入れたものです。
 価格は、上下巻で1500円でした。上出来でしょう。

【表紙】 合巻の素晴らしい点の一つは、表紙が浮世絵(錦絵)であることです。本物の浮世絵は高価でなかなか買えないのですが、東海道五十三次のような大きなものではないものの、これでも美しさは十分味わえます。色彩あざやかであるだけでなく、いささかもズレていません。多色刷り版画であることを忘れてしまいます。

青砥劇譚表紙 

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【内容】 草双紙系統は絵が大きく、字はその隙間に書かれているのは知っていましたし、写真で見たことはありましたからそう驚きませんでした。しかし、このページはとりわけすごい。びっしりつまった字、字、字。特に右上の方は圧巻です。

文字びっしり

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 かなを読めればなおいいのですが…(^^;

【巻末】 巻末には広告があります。1つは、この本を出している「東都書林の本」。中には有名な曲亭馬琴の名前も見えます(『白鼠忠義物語』)。もう一つは「清涼香」で、出版者の菊屋幸三郎が「江戸弘売所」をしていたようです。
 江戸時代の出版物の広告としても面白いと思うので、よろしければご覧下さい。
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