【入手】 東京へ旅行した時、東京の骨董市で買いました。でも、かなり昔のことなんでよく覚えていません。価格は数百円だったと思いますが、自信ありません。『手に取る…』にチェックが入れてあるので、多分新宿の花園神社の青空市だと思います。
清水書院から、比較的廉価で複製が販売されていますよね。
一見して気がつくのは、すでに2枚が使われていることです。文字通り「切って」使ったことがよく分かるのですが、逆に言うと、これだけしか使わなかったのはなぜか、気になります。
複製と照らし合わせてみると、切られている(使った)のは「手拭又ハタオル一本」と「足袋又は靴下一足」でした。
この右側の券は制限小切符で、これらの衣料を買うには、普通の切符(点数)と制限小切符の両方が必要です。なのに、ここでは切符を使っていません。おそらく、家族の他の人の切符をつかったのでしょう。
それにしても、終戦までに2年以上もあったのに、これだけしか使われていなかったのは不思議です。使いたくても衣料が店頭に全然なくなっていたのか、この人が徴集されてしまったのか、等々、色々と考えさせることができますね。
一緒に、当時の新聞の切り抜き(コピー)も売っていました。この辺、売る方が上図というか、ツボを心得てるなぁと思います。点数表がのっています。
(上の写真右の拡大) (下に拡大写真)
これによると、例えば風呂敷(小)で5点、国民服の上下一揃えで40点分の切符が必要だったことが分かります。 1人分の点数は、2点11枚、1点28枚で、合計50点です。
戦争中の物資不足の中、お金があっても(割り当ての点数分しか)買えないようにしたわけですが、切符制と配給制の説明は生徒には分かりにくいですから、こういう具体的なモノがあれば効果的ではないでしょうか。
説計算させるのは面白いのですが、切符制の厳しさがイマイチつかみにくいですね。むしろ、制限小切符のある衣料の方が、数がはっきり出るのでわかりやすいでしょう。
1枚=一人分に、「足袋又は靴下一足」は3枚、「手拭又ハタオル一本」は2枚しかありません。あとは縫絲です(15匁)。
この切符の有効期間は、昭和19年4月1日から昭和21年3月31日までです。丸2年間に、タオルは2枚、靴下は3枚しか新調できないとは、すさまじいです。当時は石鹸もままならなかったことを話してあげるといいでしょう。
なおこ、上の画像にあるように、当時の商工大臣は岸信介です。しっかり名前がのっています。彼がこのあとたどった足どり(戦犯指名にもれたこと、安保改訂問題、など)を話してあげることもできるでしょう。